データ復旧は大変?中小企業でやっておきたいデータバックアップの重要性を解説
更新日:2024年4月2日(火)
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大手企業などでは積極的に行われているデータのバックアップですが、中小企業のなかにはデータバックアップ対策がそこまで重要視されていないケースもあります。
基本的にデータのバックアップは企業の大小にかかわらず必要です。データバックアップの重要性を理解するには生じるリスクを知ってもらう必要があります。この記事では、中小企業の担当者の方にデータバックアップの大切さを知ってもらうために、データバックアップの重要性と、なぜ必要なのか、そして、データバックアップの方法を解説します。
企業にとってデータは重要な資産
まずは、データは企業にとって重要な資産であることを理解してもらう必要があります。
企業にとっては、現金や商品、不動産などの形があるものだけでなく情報や権利などさまざまな資産があります。そのなかでも、ITに関わる資産を総称してIT資産と呼んでいます。
IT資産には、下記のようなものが含まれます。
- サーバー
- PC
- スマートフォン
- ソフトウェア
- ライセンス権
IT資産には、経理データや顧客情報、取引データなど業務に必要な情報が含まれています。これらの情報を失ってしまうと円滑な企業活動ができません。企業活動を止めないために中小企業でもデータのバックアップが大切です。
企業にとってデータバックアップが必要な4つの理由
大手企業では積極的にデータのバックアップが行われていますが、会社の規模は関係なく中小企業でも同じような対策が必要です。企業にとってデータバックアップが必要な理由は4つあるからです。
- 人的ミスによるデータ損失を防ぐ
- 機器の故障によるデータ損失を防ぐ
- BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)のため
- サイバー攻撃やウイルスによる被害防止のため
4つの理由を知り「会社の規模に関わらずデータバックアップ」がなぜ必要かを理解しましょう。
人的ミスによるデータ損失を防ぐ
作業者が、誤ってファイルを上書きしたりファイルを削除したりする可能性があります。ストレージを誤ってフォーマットすることによりデータが完全に失われてしまうこともあります。
ルール化やマニュアルなどを作成し、ファイルの上書きなどしないように教育することも大切です。しかし、人的ミスを完全になくすことは不可能です。不測の事態をカバーできる方法がデータバックアップです。
データバックアップとは、データの破損・消失に備え、機器に保存されているデータを別の場所にコピーしておくことです。
データバックアップをとっておくと、人的ミスによるデータ損失の復旧ができるため大切なデータを失わずにすみます。
機器の故障によるデータ損失を防ぐ
機械には、故障するリスクがあります。サーバーやスマートフォン、PCなどが何かの原因で故障してしまう可能性は否定できません。故障が原因でデータが消失する恐れもあります。
機械が壊れてしまうリスクを考えて、すぐにデータ復旧できるようバックアップをとっておくことが大切です。
BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)のため
BCPのために、データのバックアップをとっておくことも大切です。自然災害などで、自社が被害にあってしまうと、所有する機器に影響がありデータ損失してしまう恐れがあるからです。自然災害は予測することが難しいため、継続的にデータのバックアップを取っておかなければいけません。
BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)とは、企業におけるリスクマネジメントの一種です。地震や台風などの自然災害から事件・事故・不祥事といった人的災害を含め、何か発生したときの対策をあらかじめ計画しておきます。対策を考えておくことで、事業に関わる被害を最小限にとどめ、速やかな復旧と企業活動ができるようになります。
サイバー攻撃やウイルスによる被害防止のため
企業はサイバー攻撃やウイルス攻撃のターゲットになることがあります。企業は機密情報などさまざまな情報を保持しているからです。
たとえば、「ランサムウェア」と呼ばれるファイルを暗号化して人質にし、元に戻すことと引き換えに金銭を要求する攻撃も企業にとってリスクのひとつです。バックアップデータがあれば、そこからデータ復旧することで解消できる場合もあります。
サイバー攻撃やウイルスによる被害防止のためにも、データバックアップは必要です。
具体的なバックアップの方法3つを解説
ここからは、具体的なバックアップの方法を3つ解説します。バックアップが必要な理由とセットで、具体的な方法を知れば導入を検討しやすくなるでしょう。
バックアップの方法は、下記の3つです。
- 外付けHDD・SSD
- NAS
- クラウドストレージ
それぞれ特徴があるので、一緒にみていきましょう。
外付けHDD・SSD
外付けのHDD(ハードディスクドライブ)は、電磁的にデータやプログラムを読み書きする記憶装置です。大容量のデータを扱うのに適しており、広く普及しています。家庭でもテレビの録画などに使われています。
SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)はUSBメモリーと同じように内蔵しているメモリーチップにデータを読み書きする装置です。大型のUSBメモリーだと考えるとイメージしやすくなります。
外付けHDDとSSDのメリット・デメリットを表にまとめました。
メリット | デメリット | |
外付けHDD | ・最大容量が多い ・容量単価が安い |
・衝撃による故障リスクがある ・ファイルを複数扱うと動きが遅くなる ・動作音や振動がある |
SSD | ・衝撃による故障リスクが低い ・読み書きの速度が速い ・サイズが小さい |
・最大容量が少ない ・大容量になると容量単価が高くなる |
それぞれメリット・デメリットがあるので、用途に合わせて使い分けるのがおすすめです。
また外付けHDDとSSDのどちらも被災の可能性があるため、BCP対策としては不向きだと覚えておきましょう。
NAS
NAS(Network Attached Storage:ネットワーク接続ハードディスク)は、ネットワーク上で複数のパソコンで共有できるLAN接続の外付けHDDです。NASではネットワークに接続するため1対複数の接続ができます。パソコンの電源が入っているかいないかに関わらず複数のパソコンから同時接続可能で、ファイル共有できるのが特徴です。
共有フォルダを作成することでデータの保存やファイル共有が可能です。アクセス権の設定が可能なため、他部署からはアクセスできないフォルダを作成したり個人専用のフォルダを作成したりする運用ができます。
メリットとデメリットについて、表にまとめました。
メリット | デメリット |
・複数のパソコンでデータ共有可能 ・ハードディスクの容量を複数人で分け合える ・外部からアクセス可能 |
・ネットワークの構築や初期設定に手間がかかる ・ハードディスクが壊れるとデータが全滅してしまう |
※容量単価:記憶装置や記憶媒体の記憶容量あたりの価格。装置の価格を容量で割って計算。
定期的にNASでデータバックアップをとることで、全体のディスク容量も共有でき、効率的に運用できます。ただし、HDDやSSDと同じく被災する可能性があるためBCP対策としては不十分です。
クラウドストレージ
クラウドストレージとは、オンライン上でファイルの共有ができるサービスのことです。ネットワークに接続されたサーバーの保管場所にファイルを格納し、どこにいても同じファイルにアクセスできます。クラウドストレージを使えば、ネットワークに接続されたサーバーにデータバックアップが可能です。
外付けHDD・SSDやNASでは、災害時に機器の破損などによりデータバックアップがあっても消えてしまう恐れがあります。クラウドストレージを活用すればBCP対策にも有効です。
代表的なクラウドストレージサービスを3つ紹介します。
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- Googleドライブ
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- OneDrive
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- Dropbox
各サービス定額プランがあります。拡張できるストレージの容量、連携できる機能の違いがありますので、自社の都合に合わせて採用するサービスを検討する必要があります。
ただし、クラウドストレージにはメリットだけでなくデメリットもあります。表にメリット・デメリットをまとめました。
メリット | デメリット |
・リモートワークにも活用できる ・保守管理コストが削減できる ・BCP対策に有効 |
・オフラインで利用できない ・データ通信を行うためセキュリティ対策が必要 ・情報漏洩に備えてアクセス権限などを管理する必要がある |
自社で保存媒体購入や管理の必要がなく導入ハードルは低いため、中小企業のデータバックアップに活用されることが多い方法です。インターネットがあれば場所を選ばずに利用できるのもメリットで、リモートワークでも活用できます。
データ復旧が楽になる!バックアップの手順を解説
データバックアップの方法を理解いただいたところで、手順を解説します。データバックアップはどれかひとつの方法を行うのではなく、組み合わせてリスクを回避するのがおすすめです。
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- データは3か所に保管
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- 2つは異なる媒体に保管
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- 1つは遠隔地で保管
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- データ復旧の体制強化
データ復旧が楽にできるように手順を追って解説します。
データは3か所に保管
基本的にデータは、元データのほかにバックアップデータを最低2つ保管し、合計3つ以上にするのがおすすめです。トラブルでデータが消失してしまうのが元データだけとは限りません。バックアップデータが何らかのトラブルで消失してしまう可能性もあるからです。複数のデータバックアップがあれば、トラブルが起きた場合でも完全にデータを消失してしまうリスクを減らせます。
複数のデータバックアップがあれば、トラブルに対応する手段が増えるので迅速な復旧が可能になります。
2つは異なる媒体に保管
データを保存する際には、異なる媒体に2つバックアップするようにしましょう。データバックアップの方法を3つ紹介しましたが、それぞれ弱点もあります。それぞれの弱点を補うためにも異なる媒体にバックアップデータを保管しておくことが大切です。
たとえば、2つの外付けHDDにそれぞれバックアップを取っていた場合、日常で同時に故障する可能性は低いかもしれません。しかし、衝撃に弱い特徴があるため、どちらにも衝撃を与えてしまった場合には同時に破損してしまう可能性が高くなります。
データ損失のリスクを考えた場合、異なる媒体にデータバックアップしておく必要があります。
1つは遠隔地で保管
データバックアップのうち、1つは遠隔地で保管するようにしましょう。災害などが発生した場合、同じ場所に保管しているバックアップデータを同時に失う恐れがあるからです。
外付けHDDとNASのように異なる媒体にバックアップデータをとっておいても、災害が発生した場合には同時にデータを失う可能性があります。また、災害時にはすぐに現場でデータ復旧作業ができるかどうかもわかりません。
クラウドストレージで遠隔地保管すると、BCP対策にも有効でネットワークがつながればどこからでもデータ復旧作業が可能になります。
データ復旧の体制強化
データ復旧作業には、体制を整えておく必要があります。せっかくバックアップデータがあっても、データ復旧が速やかに進まないと事業存続に影響が出てしまうからです。
バックアップ管理者を設置するなど、急にデータ復旧が必要になったときにすぐ対応できる体制を整えておく必要があります。管理者を設置すれば、誰に指示を仰げばいいのか、誰に許可を取ればいいのかが明確になるのでスムーズにデータ復旧が進みます。そのほかにも、データバックアップのルールを制定する必要があります。
データバックアップのルールには、バックアップ対象のデータは何か、バックアップの頻度はどれぐらいか、保存場所はどこかといった運用面とファイル命名ルール、分類ルールやデータの先祖返りを防ぐために定期的に古いデータを削除し、新しいデータをバックアップする管理面があります。
とはいえ、中小企業では専任のバックアップ管理者の設置が難しい場合もあるでしょう。また、バックアップ管理者がすぐに対応できない可能性も考えられます。そのような場合に、楽天モバイル法人プランの提供する「データリカバリーサービス」の活用がオススメです。
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データリカバリーサービスとは、お客様の既存のデバイスから新規のデバイスまで、消失してしまったデータを復旧するサブスクリプションサービスです。スマートフォンからサーバーまで幅広く対応しており、さまざまなデータ消失原因に対応しています。
バックアップ管理者の設置が難しい場合や、リスクに備えてデータ復旧サービスについて知っておきたい方は、下記よりお問い合わせが可能です。
中小企業でもデータバックアップの導入を
ここまでの内容を簡単にまとめます。
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- 企業にとってデータは大切な資産のひとつで会社の規模は関係ない
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- 企業は人的ミスや機器の故障、BCP対策、サイバー攻撃などに備える必要がある
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- データバックアップの方法は主に3つあり、複数の媒体を利用する
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- データ復旧の体制を整える必要があるが、難しい場合は外部サービスを活用する
データは企業にとって大切な資産であり、損失した場合には企業活動や事業存続に大きな影響を与えます。会社の規模に関わらずデータバックアップが大切であることを理解しましょう。
中小企業でコストがあまりかけられない、バックアップ管理者を設置するのが難しい場合にはデータリカバリーサービスのような外部サービスの活用がおすすめです。中小企業に適したバックアップ方法を理解したうえで導入を検討してください。
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